早稲田大学法学部の国語(現代文)入試の全体像
早稲田大学法学部の一般選抜における国語は、試験時間90分・配点50点で実施されます。大問は4題構成で、大問1が古文、大問2が漢文、大問3・4が現代文(評論文)にあたるのが例年の傾向です。
解答形式はマークシート方式と記述式が混在しているのが特徴で、現代文でも単純な選択問題だけでなく、抜き出し問題や、本文の内容を踏まえて自分の言葉でまとめる記述問題が出題されることがあります。記述問題の具体的な字数指定や配点内訳は年度によって変わる可能性があるため、出願する年度の最新の入学試験要項・過去問で必ずご自身で確認してください[要確認]。
現代文の本文は抽象度の高い評論文が中心で、法・社会・言語・思想といったテーマが扱われやすく、語彙のレベルも高めです。「本文は読めた気がするのに選択肢で毎回迷う」という受験生が多いのは、読解力そのものより、論理展開を追う技術と、選択肢の根拠を本文に照らして判定する技術が不足していることが主な原因です。
論理展開を読み取るための「論理マーカー」
評論文を安定して読み解くには、文と文、段落と段落をつなぐ論理マーカー(接続表現)に敏感になることが欠かせません。代表的なマーカーには次のような役割があります。
- 逆接(しかし・だが・ところが・もっとも):直前までの内容と反対の主張が来るサイン。筆者の本当の主張はここに来ることが多い
- 因果(したがって・そのため・なぜなら):主張と根拠の対応関係を示す
- 例示(たとえば・具体的には):抽象的な主張を支える具体例の合図
- 要約・言い換え(つまり・要するに):それまでの内容を一段階圧縮した表現が来る合図
- 対比(一方・他方で):2つの立場や概念を並べて違いを際立たせる合図
例)「近代法は個人の自由を前提として組み立てられている。もっとも、その自由は無制限に認められているわけではない。たとえば契約の自由も、公序良俗に反する内容までは保護されない。つまり、近代法における自由とは、他者との関係のなかで一定の制約を受けることを織り込んだ自由なのである。」
この一文の流れでは、「もっとも」で逆接が入り、「たとえば」で具体例が示され、「つまり」で筆者の主張がまとめ直されている。設問で問われやすいのは、多くの場合この「つまり」以降の一文である。
論理マーカーを使った読解の手順
- 逆接・因果・要約のマーカーに印をつけながら読む
- 「つまり」「要するに」の直後の一文を、その段落の結論候補としてマークする
- 具体例(たとえば〜)が出てきたら、対応する抽象的な主張がどの文かをさかのぼって確認する
- 段落末で、その段落の結論を自分の言葉で一文にまとめておく
この手順を徹底すると、選択肢を検討する際に「本文のどの一文が根拠になっているか」を即座に指させるようになります。
選択肢の根拠をどう判定するか
法学部の現代文は、選択肢が本文の内容を微妙にずらして作られていることが多く、消去法だけに頼ると最後の2択で迷いがちです。代表的な紛らわしい選択肢のパターンは以下のとおりです。
| パターン | 特徴 | 見抜き方 |
|---|---|---|
| 論理の逆転 | 因果や対比の向きを入れ替えている | 「AだからB」の向きを本文のマーカーと照合する |
| 過剰な一般化 | 本文の限定的な記述を無条件の主張に広げている | 本文に条件・限定の表現がないか確認する |
| 別次元の話へのすり替え | 本文の論点と隣接するが異なる話題にすり替える | 選択肢の主語・論点が本文の該当段落と一致するか確認する |
| もっともらしい一般論 | 常識的には正しそうだが本文に根拠がない | 本文中に対応する記述があるかどうかだけで判断する |
選択肢吟味の例
選択肢に「近代法は個人の自由を全面的に保障する制度である」という記述があった場合、本文に「もっとも、その自由は無制限に認められているわけではない」という逆接の一文がある以上、この選択肢は過剰な一般化にあたり、本文と矛盾すると判定できる。
選択肢を選ぶときは「消去して残ったから」ではなく、「本文のこの一文が根拠になっている」と指させるかどうかを基準にすることが、法学部の現代文で安定して得点するための最大のポイントです。
記述式問題への向き合い方
法学部の現代文では、選択問題に加えて、本文の内容を踏まえた記述問題が出題されることがあります。記述問題の対策としては、次の点を意識してください。
- 本文の要旨を、指定字数を意識せずにまず自分の言葉で一文〜数文にまとめる練習をする
- 「筆者の主張+その根拠」という骨格を外さずに要約する
- 自分の意見を加える形式が出た場合は、本文の論理展開に矛盾しない立場から書く(本文と無関係な一般論を書かない)
- 書いた答案は、本文のどの一文・段落を根拠にしたか説明できる状態にしておく
記述問題の出題有無・字数指定・配点は年度によって変わる可能性があるため、最新の過去問・入学試験要項で必ず確認してください[要確認]。
学習計画の一例
| 時期 | 取り組む内容 |
|---|---|
| 基礎固め期 | 論理マーカーを意識した精読練習、語彙・背景知識のインプット |
| 演習開始期 | 過去問・類似レベルの評論文で選択肢の根拠判定を1問ずつ言語化 |
| 記述対策期 | 要約・意見記述の練習、添削を受けて表現のずれを修正 |
| 直前期 | 時間を計った本番形式演習、誤答パターンの総復習 |
学習の各段階で「論理展開を追えたか」「選択肢の根拠を指させたか」を振り返る習慣をつけると、感覚に頼らない安定した得点力につながります。
まとめ
早稲田大学法学部の現代文は、90分・50点という限られた時間の中で、抽象度の高い評論文を論理マーカーを頼りに読み解き、紛らわしい選択肢を本文の根拠に照らして判定する力が求められます。記述問題への対応も含め、感覚ではなく「根拠を指させるかどうか」を基準にした解き方を、過去問演習を通じて繰り返し身につけていきましょう。出題形式の詳細は年度により変わり得るため、最新の入学試験要項・過去問を必ずご自身でも確認してください。